歯の豆知識

歯周病とは(その1)

当院には9名の歯科衛生士がおり、ブラッシング指導などの初期治療を担当しています。
軽度から中程度に歯周病が進行した方は麻酔を用いて痛くないように、
歯ぐきの中の歯石や細菌を徹底的に除去します。

この方法で多くの方は改善されますが、
高度に進行した方の中には歯周外科手術が必要な方もいらっしゃいます。
歯周外科手術は再生療法といって失われた歯肉や骨を再生させるため、
GTR エムドゲインといった材料を用いることもあります。

当院の歯周病治療法はJIADS(ジアズ)という卒後研修団体の行っている治療法で、
米国ボストンのDr.Nevins らの臨床歯周補綴学です。
院長を始め当院の2年目以上の歯科衛生士は全員このJIADSの歯周補綴コース、
ハイジニストコースで研修を受けています。

JIADSのホームページへ

歯周病は気づかないうちにすすむ病気です。

歯周病にかかっている人65%、
歯を失う原因46%というデータがあります。

歯周病は、まず気づくことが大切です。

歯周病は、歯を支えている歯ぐきや骨の病気です。その原因は、歯と歯ぐきの間にできるすき間(歯周ポケット)内の細菌です。 ものがうまく噛めなくなり、最後には歯が抜けることもあるのです。

さらに困るのは、痛みなどの自覚症状がない場合が多いことです。
歯周病を防ぐには、まず自分の歯ぐきの状態に気が付くことが大切です。
歯周病は早期に発見して適切な治療とていねいなブラッシングを継続していくことで、直すことができます。
自分の歯ぐきをチェックして早期発見早期治療を心がけましょう。

当院の歯周病についての考え方、取り組みの紹介です。

2004年6月7日放送「KBS瀬戸内海放送の夕方のニュース?健康カプセル?」にて
当院の歯周病についての考え方、取り組みが紹介されました。




歯周病とは(その2)

歯を取り巻く組織(歯周組織)には、歯を支える歯槽骨(顎の骨)、歯と歯槽骨を仲介する歯根膜、そしてそれらを包む歯肉(歯ぐき)があります。

歯周病は、歯の周りの病気と書きますが、お口に潜む特殊な細菌感染によって発症する歯周組織の破壊です。

初期症状としては、痛みのない歯ぐきの腫れや出血、
さらに進行すると痛みを伴った腫れや歯ぐきからの膿などが見られるようになります。
しかし、これらの症状は持続せず、数日で落ち着いてしまいます。

ところが、これで歯周病が治ったわけではなく、恐ろしいことにそれほど自覚症状がないままじわじわと進行していきます。
ほとんどが、痛みや腫れを伴う急性期と自覚症状のない慢性期を繰り返しながら進行していく病気なのです。

この歯周病が進行していくと、驚くことに歯を支えている顎の骨が溶けてしまうのです!(考えてみて下さい。自分の身体の中で骨が溶けている場所があるなんて想像つきますか?)でも、そうなると当然支えられている歯はぐらつき、やがては抜け落ちてしまう運命にあります。
症状として我慢できないほどの痛みになったり、膿が止まらなくなったり、歯がぐらついてきたりすると『もう手遅れ!』なんてこともあるのです。

歯周病にはいろんな症状がありますが、次のような症状がある人は要注意です。

歯ぐきからの出血 歯ぐきの発赤 歯ぐきの腫れ 歯ぐきから膿が出る
歯が浮いた感じがする 噛んだときに痛みがある 周期的にこれらの 症状を繰り返す 歯がよくしみる
人から口臭を指摘される 口の中が粘っこい 食べかすが詰まりやすい 噛んだときに痛みがある
前歯が開いて(空いて)きた 歯の隙間が増えてきた 歯が伸びてきた 歯がぐらぐらする

みなさんいかがですか?

いくつか項目の当てはまる人は、ぜひ歯科受診を考えて下さい。

レントゲン撮影や歯周病の検査を行って自分の歯周病の進行状況を把握してください。
そして、専門家の指示を仰ぐ必要があります。

進行した歯周病は数回歯医者さんで治療したから完治するものではありません。
たとえ症状が落ち着いた、あるいは、歯ぐきの状態がよくなったようでも
定期的にチェック(定期検診)をしてもらうべきなのです。

それから、歯周病は、口の中に潜む歯周病の悪玉菌(虫歯菌とは種類が違います)が大きな原因です。
歯医者さんで歯石除去〔スケーリング)と同じくらい毎日の歯みがきが重要な治療法であり、予防法です。
(この歯みがきは専門的な指導なしではほとんど不可能です)。

自分自身のお口の中の状態を正確に理解し、歯科医院での治療、家庭でのブラッシングの必要性を十分に理解し、
治療に参加してもらい、生活習慣を見直すことが大切です。

昨今、歯周病学会や医学会において様々な全身疾患(心血管疾患、糖尿病、低胎児早産、肺炎、胃潰瘍など)と
歯周病との関連が報告されております。

たかが口の中のことと軽視するのではなく、自分のお口の中に関心を持って下さい。
歯医者は歯の治療をするだけの場所というイメージは捨て、
是非、歯周病の早期発見、早期治療、積極的な歯周病予防に参加してみて下さい。

結局は、それが時間とお金をかけずにすむ一番の近道かもしれません。

歯周病治療の流れ

歯周病の治療は次のような流れで進みます。

診査診断 レントゲン
歯周ポケットの検査等
 
初期治療 1.効果的なブラッシング法の習得
2.歯石除去
3.噛み合わせの調整等
 
再評価 治り具合の検査

必要があれば外科的治療
(重傷の場合)
 
定期検診 3カ月-6カ月ごと

歯周病の治療は50%は患者さんの努力にかかっています。
また、治療期間は軽度の人で3カ月、進行した人は6カ月以上かかることもあります。

自分のかけがえのない歯を一本でも長持ちさせるため、
私たちと一緒に歯周病に立ち向かっていきましょう。

診療症例

歯周病治療症例1

17歳の高校2年生の女性です。
前歯の歯ぐきのはれで来院されましたがあちこちから、うみがでていました
全体の歯周治療を行ないました。
矯正治療を始めました。
健康な歯肉そして笑顔を取り戻しました。
術後8年間調子良好です。

歯周病治療症例2

30歳代の主婦です。
右前歯が自然に抜けて怖くなって来院されました。高度な歯周病が進行しています。
前歯も暫間固定をし、歯周治療を行いました。
歯ぐきの状態が安定した後、上の前歯はセラミック冠を計6本入れています。下の前歯は天然の歯です。
治療前と比べて健康な歯肉そして笑顔を取り戻しました。

歯周病治療症例3

40歳代の女性です。上前歯の変色と出っ歯で来院されました。
出っ歯の原因は歯周病でした。
まず全体に歯周治療を行いました。
上あごに矯正治療を行いました。
矯正治療後の前歯4本にセラミック冠を入れました。
健康な歯肉そして笑顔をとりもどしました。

歯周病治療症例4

40歳代の男性です。
物がかめないと来院されました。
歯周治療を行った結果歯ぐきが引きしまり、自然に出っ歯も治りました。
この時点で右前歯にセラミック冠を1本かぶせ直しました。
7年後です。
定期的なクリーニングにより、健康な歯肉のままで、何でも噛めると言われています。

歯周病治療症例5

歯周病と前歯のすき間を治療したいと来院されました。
30代の男性です。
虫歯は全くありませんが、見た目より歯周病が進行しており上の前歯は歯の突き上げによってすき間ができています。
初診時の全体のレントゲン写真です。骨の吸収が著明です。
全体の炎症は取れ、何をしなくても前歯のすき間はきれいに閉じてしまいました。術後8年間再発していません。

歯周病治療症例6

40代女性です。歯肉からの出血が主訴です。
歯周病治療後です。歯肉よりの出血は全くなくなりました。

歯周病の再生治療

歯周病で失われた歯槽骨はもう2度と元に戻らないでしょうか?
いいえ、状態によっては元に戻すことができます。
エムドゲイン、GTR法などが、この再生療法と呼ばれる方法です。

左側上顎前歯部から排膿を主訴に来院された31歳 男性のケースをご紹介します。
左上前歯部に根っこへの先に達するほどの骨の吸収を認めます。
当然この歯は動揺(ぐらつき)を認めます。

レントゲンに示す線が本来の正常な骨のレベルと現在の骨のレベルを表しています。
(1)は骨の再生外科治療を行う時の写真です。レントゲンが示すように骨は根っこの先近くまで吸収しています。
(2)は再生治療後6カ月の同部の写真です。再生外科治療によって骨のレベルがかなり回復しているのが分かります。

この写真は頭部の断層撮影(CT)を立体的に3次元構築した上顎の像です。左の前歯に著明な骨吸収像が認められます。

 

 

 

こんな歯周病あんな歯周病

歯周病には実はいろいろな種類があります。
その種類によっては治療法が若干異なることがあります。
ここではいろんな歯周病を紹介します。

(1)急性懐死性潰瘍性歯周炎

ひどい痛みを伴います。食事、歯みがきなど痛くてできません。
49歳男性 歯ぐきの痛みを主訴に来院
出血と膿、著明な潰瘍が見られ、歯ぐきに強い接触痛があります。
口腔内清掃指導、洗浄、抗生剤全身投与及び、局所投与(ペリオクリン)を行った19日後です。

(2)早期発症型歯周炎

中学生や高校生の時から歯周炎が始まり高度に進行します。
最初は6歳大臼歯と上前歯2本に進行することが多いです。
28歳女性です。
全体のレントゲン写真で歯を支えている顎の骨が、ひどく吸収しており、歯は浮いている状態です。ほとんどの歯は保存するのが困難です。
歯を支えている骨の吸収に伴い、歯ぐきが下がり歯の根っこが露出しています。ほとんどの歯はぐらぐら、ひどい状態です。

(3)急速進行性歯周炎

(2)の早期発症型歯周炎や若年性歯周炎から移行することもありますが、
進行が急速なのが特徴です。
37歳女性です。
初診時には歯ぐき全体が発赤し、腫れと膿でひどい状態でした。
初期治療終了後、歯ぐきの状態は安定してきました。歯ぐきが引きしまってきました。下の歯は治療中の仮歯です。

(4)歯性上顎洞炎

上の奥歯の感染が進行すると上顎洞(上顎の鼻とつながる空間)に
炎症が波及するときがあります。
左の奥歯の歯ぐきが腫れ、膿がとまらない状態です。
腫れは著明で顔が左右非対称になるほどはれています。
頭痛、鼻閉感も伴います。

歯周病Q&A

Q.最近、歯みがきの時に歯ぐきから出血します。歯周病でしょうか?また、治りますか?

歯をみがくときの歯肉からの出血は歯周病の症状の1つですから歯周病の可能性が高いです。しかし軽度であれば比較的簡単な治療で治ります。早期の治療をおすすめします。

Q.歯周病の治療を受けたいのですが、歯石を取るのが痛そうで心配です。大丈夫でしょうか?

歯石には歯ぐきの上につく緑上歯石と歯ぐきの中につく緑下歯石があります。緑上歯石であればあまり痛くなく取ることができます。
緑上歯石は取る時に痛くないように麻酔をしてから取ることも多いです。
痛みが強い時は「麻酔をしてください」と言いましょう。

Q.タバコがどうしても手離せません。タバコって歯周病にそんなによくないのですか?

タバコは歯周病に悪い影響を与えることが研究でもわかっています。歯周病が進行している方には禁煙をおすすめしています。喫煙者は治療に対する歯肉の反応も悪く治りにくいです。禁煙ができなくてもせめて本数を減らすか軽いものに変えましょう。

Q.歯周病治療にレーザーを使うレーザー治療って聞いたことがあるのですが、よくきくのですか?

歯ぐきが腫れて痛みが強い時、急性症状の時、レーザーは威力を発揮します。あまり痛くなく切開、排膿させることも可能です。
通常の治療においてレーザーだけで歯周治療が全てできることはありません。あくまでも補助的な治療法です。ただ、レーザー治療はほとんど痛みを伴わないため、毎回のようにレーザーを希望する方もいらっしゃいます。

Q.夫がひどい歯周病です。最近私も少し歯肉がはれるのですが歯周病ってうつるんですか?

歯周病は歯周病菌が感染して起こる病気です。そのため、うつることがあります。最近では夫婦間での感染が問題になっています。当院でもご夫婦いっしょに治療を受けられる方も多いです。ただし、十分なプラークコントロールをしていれば夫婦間での感染を予防できますので心配しないでください。

Q.私の母親は若いうちに歯周病で歯を失い、今は入れ歯です。私も心配なんですが歯周病って遺伝するのですか?

高度に歯周病が進行している方と、その方の子供もいっしょに診察することも多いのですが、子供にも歯周病が進行している方が多くいらっしゃいます。遺伝的要因が強いのか後天的に感染しているかははっきりわかりませんが、母親と娘に見られるケースが多いことから遺伝的な要因が強いと思われます。DNA検査がもっと広がれば遺伝かどうか、また歯周病のリスクなどわかるようになります。

Q.歯周病を治したいのですが、歯みがきが面倒で苦手です。歯を磨かなくても簡単に治す方法はありませんか?

歯周病は細菌感染症ですから今のところ歯ブラシで原因菌のかたまりのプラークを機械的に除去することが一番大切です。
今後はワクチンや薬で簡単に治せる時代が来るかもしれませんが、今は我慢してブラッシングをがんばって下さい。

Q.歯周病は必ず治療を受ければ治る病気ですか?

歯周病は成人の方の約80%がかかっていると言われていますが、ほとんどの方は軽い歯周病ですので簡単な治療で治ります。
約10%の方が高度に進行している方で、難治性歯周炎とよばれる治りにくい歯周病もこの中に含まれます。
また、中年以降の男性でタバコは1日2箱、仕事の疲れ、ストレスで歯ぎしりをする。歯みがきは忙しくてできない。治療の予約はキャンセルしがち、こういった方は治すのが本当に難しいです。

Q.歯周病の治療を受けたいのですが、どの歯医者を選べばいいのでしょうか?

まず歯周病治療に医院全体で取り組んでいる歯科医院を選んでください。歯周病治療について詳しく説明がありますからすぐわかると思います。
次に医院に歯科衛生士がいること。歯周病治療にこの歯科衛生士の存在は欠かせません。次に歯石除去に機械の超音波スケーラーだけでなく、手用器具のキュレットを使用していること、これも大切です。
「キュレットを使って歯石除去をして下さい。」と言いましょう。

歯周病が招くこわーい病気

歯周病は進行すると歯がぐらぐらしたり、うみが出たり、
しまいには歯が抜けてしまう病気であることは皆さんご存じの通りです。

ただ、歯周病の影響は歯のことだけではとどまらないことが最近の調査でわかってきています。

例えば、お口の細菌から「感染性心内膜炎」を起こしたり、高齢者の方の「誤嚥性肺炎」を引き起こすことがあります。

歯周病と「心臓病」

ノースカロライナ大学の研究によると歯周病のある人が心臓病(狭心症や心筋梗塞など)になる確率は
歯周病のない人に比べて1.5?3倍に上がることがわかっています。

歯周病と「早産」

同じくノースカロライナ大学の研究によると、
歯周病の女性が低体重児を早産する確率は歯周病のない女性の約7倍になります。

歯周病と「糖尿病」「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」

歯周病が糖尿病の合併症の1つであることがわかってきています。
また、口の中の細菌と「骨粗鬆症」との因果関係もわかってきています。

歯周病と「肺炎」

高齢者の方が歯周病の原因菌を吸い込むと誤嚥性肺炎を起こしやすいです。この肺炎は現在死亡率の上位です。

以上の様に歯周病が全身の健康を損なうことがわかってきています。
歯周病をしっかり治療することが上記の病気を予防することになります。

また、治療終了後、いくら念入りに歯磨きをしても限界があります。
少なくても6ヶ月に1回はプロの歯科衛生士による歯の専門的クリーニング(PMTC)を受けて下さい。

今までは歯医者は虫歯や歯周病を治すところと思われていましたが、
今後は全身の健康のために歯医者で定期的に口の中のクリーニングをしてもらうと考えてください。

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