訪問口腔ケアとは?
身体的理由などで歯科医院に来られない方々のところに、歯科医師・歯科衛生士が訪問させていただいて、大切な「口腔」の治療やケアを行う訪問歯科診療があります。
その中で、歯科衛生士が行っている「口腔ケア」という分野が、施設や在宅で介護を必要とする方々にとって、日常的にそして継続的に大変重要となります。
歯科衛生士が訪問して行う「口腔ケア」とは、介護が必要となった方々に対して、口の中の汚れやトラブルを改善し、それらが原因となる口の中のさまざまな病気を防ぐこと、または早く発見して治療に結びつけてゆくこと、そして低下した口腔の機能を高めたり、維持させたりしながらいつまでも口からおいしく食べられて健康な日々を送れるように支援してゆくことです。
また、介護をされているその家族に対して、日々の口腔の手入れの方法や、食べることへの支援により、介護負担の軽減につながるような援助やアドバイスもさせていただきます。
もし、お困りのことやご相談などありましたら、遠慮なくご連絡下さい。
口腔ケア用吸引歯ブラシ
口腔ケア用吸引歯ブラシを作ってみました。
患者さん毎に点滴用のバッグ、チューブを用意します。
歯ブラシには植毛の部分に上下2カ所チューブの大きさの穴をあけます。写真の様につないで吸引する方のチューブは吸引機もしくは医院から持参しているバキュームにつなぎます。点滴用バッグに水もしくは薬液を入れてフックにかけます。後は吸引機のスイッチを入れるだけです。
今まで誤嚥の恐れがあって歯みがきが水をつけて出来なかった方、また寝たきりで意識障害のある方の口腔ケアに有効です。
シンプルですから滅菌消毒も簡単に出来ますし、何より安価です。ライオンのデントエラックもいいですが価格がねぇ!
意識障害の方の口腔ケア
平成13年9/23、病院歯科介護研究会の学術講演会で、「口の中のケア」の大切さとその方法について発表しました。私が担当したのは、「意識障害の方の口腔ケア」というテーマです。
意識障害には、いろんな原因がありますが特に脳卒中などが原因で起きる場合、ほかにも、運動麻痺や知覚麻痺を伴うことが多く、自分の口の中のケアが難しくなり、口の中の状態が健康なときよりもずいぶんと悪くなりがちです。
また、重度の意識障害になった場合は、ご本人はもとより、介護をされているご家族や介護の方々にとっても、口の中の手入れが難しくなります。
もし、口の中のきちんとした手入れを毎日することによって、体の元気が保たれるなら、とてもうれしいことです。
それは、入れ歯の手入れや、残っている歯や歯肉、舌や粘膜を常に清潔にたもつことです。
口から食べ物を食べているときはもちろん、たとえ食べられなくなってほかの方法で栄養をとらなければならなくなっても、口の中の手入れはとても大切です。
口臭を防いだり、歯や歯肉の病気を悪化させないようにするだけでなく、少なくなった唾液の分泌をよくしたり、口の中の刺激や声かけによって意識の状態を覚醒に保たせて、残った体の機能を維持してゆくことも期待できます。
できることから、ぜひ取り組んでください。
方法は、まず入れ歯を使われている方は毎日はずして専用のブラシできちんと洗ってください。
それからうがいです。
歯が残っている方は柔らかめの歯ブラシで丁寧に磨きます。
それから、舌や上あごのところ、ほっぺたの内側などもゆっくりと優しくこすります。
最後にもう一度うがいをします。
ご自分でできにくいところは、ご家族や介護職の方に遠慮せず助けてもらうことも大切です。
また、私たち歯科衛生士にご相談くだされば、お力になれると思います。
そのような方は無理をせず、ぜひ、ご相談ください。
どのような状況にあっても、口の中は清潔で、唾液で潤っていることがその人らしく、健康に生きてゆくために必要なことです。
呼吸する、食べる、話す、笑う・・・元気なときはあたりまえに思えることが病気になると困難になります。
これらの働きをしている「口腔」というところを大切にして、元気ですごしていただきたいと思います。
いろんな職種の方々とよい連携をとりながら、歯科の専門職として歯科医師・歯科衛生士は「口腔」をとおしてみなさまの健康を願っています。
歯科衛生士による口腔ケア
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| 歯科衛生士による口腔ケアです。 | デントエラックを使用しています。 | 意識障害のある方の口腔ケアです。 |
要介護高齢者のお口の中
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| なかなか口を開けてくれません。 | プラーク、食べカスがいっぱいです。 | 口腔ケアを受けている方のお口の中です。 |
摂食嚥下体操
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| 施設(老健)での嚥下体操です。 | 養護老人ホームでの嚥下体操です。 |
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| 施設のスタッフの方に口腔ケアの実習を受けてもらっています。 |
口腔ケア用品
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| こんなグッズを使っています。 | 入れ歯の清掃用にも多くのグッズがあります。 |
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| 左のケアクリニックは吸引力が強くて重宝しています。 |
口腔ケアってなに?しないとどうなるの?
人は生きている限り、病気にもなりますし、体や心に障害を持つこともあります。そして、必ず身体は老いてゆきます。今、病院や施設・在宅において何らかの病気を持ちながら介護を受けておられる方々に対して、「ケア」とはいろいろな意味を持ちます。それは入浴や排泄など、身体介護のケアであったり、精神的な心のケアであったり、そして配慮や気遣いまで含めた幅広い意味を含みます。
「口腔【こうくう】」というイメージ的に狭い分野の「ケア」に対しては、歯を磨く、うがいをする、などといったことのみが連想されがちです。
しかし、口腔の粘膜は咽頭部(いんとうぶ)(のどの部分)を経て、食道・胃などの消化器や内臓につながっていますし、気管や肺などの呼吸器官にもつながっており、決して独立した気管ではありません。
その口腔内には、歯がある場合、300種を超える細菌が数千億個も住み着いており、適切なケアが行われないと、一兆億個以上にもなるといわれています。それが、虫歯や歯周病の主な原因となっていて、病状が進行すると歯を失うことになり、食べる機能が低下してきます。
また、高齢や病気などにより飲み込む働きがうまくゆかなくなり、さらに体力・免疫力(めんえきりょく)がおちてくると口腔内で増殖した細菌が、寝ている間や食事時に唾液や食物と一緒に気管から肺に入り、細菌感染を起こす呼吸器感染症(誤嚥性肺炎【ごえんせいはいえん】)にもかかりやすくなり、発熱が続いたり、生命の危機にもつながります。
肺炎は死因の第4位(1995年)で、その97%は高齢者といわれています。
私たち、歯科医師・歯科衛生士は、「口腔の疾病(しっぺい)予防」から「呼吸器感染予防」そして「摂食【せっしょく】・嚥下【えんげ】(たべる・のみこむ)障害への対応」といったことなどを通して、「全身の健康」を支えてゆく「専門的な口腔ケア」を行い、必要に応じてアドバイスや支援もしています。
また、「呼吸する」「食べる」という生命維持の働きとどうじに、話す、笑う、表現する・・といったかけがえのない「コミュニケーション」の役割も果たしている大切な「口腔」が十分機能してゆくよう、機能訓練も行いながら、「心の健康」をもサポートしていきます。
そして、一人一人がそれぞれの状況の中でいきいきと生活ができ、人や社会と関わりながら最期まで豊かな日々が送れるよう支援してゆけることを目標としています。
このような広い意味での「口腔【こうくう】ケア」を、年齢や病気の状況そして体の機能や能力・心理的問題、また環境や生活の状態などに合わせた適切な方法により、どのような状況下にあっても、本人と私たち医療者も含めた周りの支援者の手により、日々続けることが、「口腔【こうくう】」をとおして生きることの「質」を高めてゆくことになります。
健康なときにはあたりまえと思ってしていたことが、高齢になったり、病気や障害を持つと困難になります。
元気で健康なときから、正しい口腔ケアの習得と習慣を身につけ、たとえ病に倒れても、またその後遺症が残ったとしても、「噛【か】んでおいしく食べられる口腔【こうくう】」が存在すれば、それを乗り越えられる可能性は、おおきいでしょう。
さあ、皆さんこれから一緒に「口腔ケア」をもっと理解して自分の健康に向かい合ってみませんか?
口腔ケアの実際
それでは、前回に続き、実際の口腔ケアの内容を簡単にご説明します。
大きく分けて次のような5項目が主なものとなります。
<1>プラークコントロール
<2>義歯の清掃
<3>含嗽【がんそう】(ぶくぶくうがい)
<4>摂食【せっしょく】・嚥下【えんげ】(たべる・のみこむ)機能訓練
<5>環境・生活状況の整備
前回お話しましたように、虫歯や歯周病の原因となったり、誤嚥性肺炎【ごえんせいはいえん】などの呼吸器感染症の原因になる口腔内細菌を減少させ、増殖を防ぐようコントロールしていくことが、口腔ケアの第一歩です。
「プラークコントロール」とは、そのような細菌の集合体である、プラーク(歯垢(シコウ))を除去してゆくことです。
それは、その人にあった清掃道具を使用して、歯の周囲や歯と歯肉の間のポケットと呼ばれる隙間などに存在する細菌を丁寧に除去してゆきます。
また、その歯垢【しこう】が石灰化して歯に硬くこびりついた歯石【しせき】も、除去します。
それから、舌や頬粘膜【きょうねんまく】(ほほの内側)・口蓋【上あご】・咽頭部【いんとうぶ】(のどのまわり)などの粘膜に付着している細菌も取り除いてきれいにします。
それには、いろいろな硬さの歯ブラシ、歯間ブラシ、粘膜用ブラシ・舌ブラシ、スポンジブラシ・デンタルフロス(清掃用の糸)・ガーゼ・他さまざまな清掃用具を使用します。
また、義歯を使用している場合には、義歯用ブラシや義歯洗浄剤などを使用します。
また、含嗽【がんそう】(うがい)も重要で、頬の筋肉を十分使ってぶくぶくうがいをします。そのときに、薬用成分の入ったいろいろな含嗽剤も使用します。
どのような状況にあっても、できる限り残っている体の機能をいかして自分でのケアが可能になるように、道具の形態を工夫したり自助具(ジジョク)を活用することも必要になります。
また、一部介助や全介助が必要な方には、ケア時の誤嚥【ごえん】(誤って不潔な血液や水分が気管に入ること)を防ぎ、安全に効果的に、そして何より安楽に受けられるよう配慮しながら、一人一人にあった専門的な口腔ケアを実施してゆきます。
そして、口唇【こうしん】や舌を使って食物を取り込み、歯や舌・頬筋など口の周りの筋肉をうまく使って、唾液を十分出しながら咀嚼【そしゃく】(かむ)して、嚥下【えんげ】(飲み込む)するという一連の動きがうまく働くように機能訓練をします。
高齢になったり脳卒中の後遺症で麻痺がある場合などは、この働きが悪くなっており、うまく飲み込むことができにくくなります。
さらに、このようなケア時の動作がスムーズに行くように、生活周辺の環境も整えてゆくこともだいじです。
以上、私たちが現在行っている「口腔ケア」の考え方と、その簡単な内容を2回にわたって、お話をさせていただきました。
実際の方法などもっと詳しくお知りになりたいことや心配なことなどありましたら、私達、歯科医師・歯科衛生士にいつでもご相談ください。
また、掲示板のほうへメールでお知らせ下さっても結構です。
お待ちしております。
最後に、現在寝たきりで病院に通院できない方々にたいして歯科医師・歯科衛生士が訪問して歯科治療や口腔ケアを実施することができます。
お困りのことがありましたら、ぜひご相談ください。
歯科医療に関するいろいろなお話を書いていきます。
患者様がお住まいの主なエリア
岡山県岡山市 ・岡山県倉敷市 ・岡山県総社市 ・岡山県玉野市 ・岡山県御津郡 ・岡山県吉備中央町 ・岡山県瀬戸町 ・岡山県早島町
上記以外の地域からも沢山の患者様が来院されています。お気軽にお越しください。
























