高齢者の歯の相談で、次に多いのが入れ歯です。最も多く寄せられる相談は、「入れ歯が合わない」「合わない入れ歯を無理にはめていたら、気分も体調も優れない」などです。もちろんどんなによくできた入れ歯でも人工的に作ったものである以上、自分の歯のようにいきません。また、保険内でできるものとそうでないものにも違いがあるのも事実です。さらに違和感の感じ方にも個人差があるため、いくつかの方法や種類があっても一概にどれがいいとはいいにくいです。
だからといって入れ歯を使わず、抜けたままの状態にしていたら食事が思うように取れないだけでなく、あごの関節に負担がかかりすぎて姿勢が悪くなったり、歩行が困難になったりすることもあります。
入れ歯に関しては幾つか興味のある体験をしていますのでご紹介します。
いつも歩いていた坂道が登れなくなった高齢者がいました。周囲の人はもちろん、本人でさえ、足腰の筋力が弱ってきたためだと思っていたのですが、実は奥歯でしっかりかみしめられなかったのが原因でした。その証拠に、入れ歯を入れた途端にその坂を上れるようになりました。また、寝たきりで気力のなかった高齢者が、入れ歯を入れたことで生気を取り戻し、近所を歩けるようになるまで回復したというケースも実際に経験しています。
入れ歯の技術は昔に比べ数段に進歩しています。また、インプラントと呼ばれる人工歯根や、いったん失った骨を元に戻す方法など、できるかどうか個人差はあるものの、従来の入れ歯とは全く違った処置も可能になってきています。口は特に敏感な器官です。入れ歯を入れると痛いとか、どうしても合わないという場合でもあきらめないで歯科医に相談してください。ちょっとしたケースで治るケースもたくさんあります。