先に述べたように、高齢者の歯の病気で最も多いのは、歯周病です。歯周病とは、歯を支えている歯ぐきや骨の病気で、その原因は歯と歯ぐきの間にできるすき間(歯周ポケット)内にたまった細菌です。気がつかないうちに細菌が繁殖し、歯肉が赤くはれ(歯肉炎)、歯を取り囲む骨は徐々に溶けていきます(歯周病)。ものがうまくかめなくなるだけではなく、ついには歯が抜けることもあります。痛みがないため気がつかず、実に七割が歯周病にかかっているというデータもあります。
かつて、高齢になって歯が抜けるのは老化現象の一つ、と考えられていましたが、それは大きな間違いです。歯周病は子どもから大人まで、だれでもかかる病気だということを認識しなければなりません。また、歯周病と虫歯になりやすさとは、イコールではありません。虫歯は予防歯科診療の発達した今、かなりコントロールできるようになりました。歯周病は、大学病院など高次医療機関では、DNA検査で将来的に歯周病になるかどうかを見分けられるようになっていますが、研究はまだまだこれからです。
歯周病は「重度」になるととても怖い病気ですが、それは全体の十%未満に過ぎません。ほとんどの人が歯周病の原因であるプラーク(歯垢)をコントロールすることで、炎症を抑え、歯周病の進行を止めることができます。歯周病を防ぐには、適切な治療と丁寧なブラッシングが不可欠です。きちんと磨いてるつもりでも、歯垢を完全に落とすのは難しいです。
歯周病を予防するためには、定期的に歯科を受診して、歯の状態をチェックしてもらうのが望ましいです。歯肉炎から歯周病へ進行する前に自分の歯ぐきの状態を自己管理しておけば、歯周病で大切な歯を失わなくて済みます。