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口腔ケアってなに?しないとどうなるの?


人は生きている限り、病気にもなりますし、体や心に障害を持つこともあります。そして、必ず身体は老いてゆきます。今、病院や施設・在宅において何らかの病気を持ちながら介護を受けておられる方々に対して、「ケア」とはいろいろな意味を持ちます。それは入浴や排泄など、身体介護のケアであったり、精神的な心のケアであったり、そして配慮や気遣いまで含めた幅広い意味を含みます。

「口腔【こうくう】」というイメージ的に狭い分野の「ケア」に対しては、歯を磨く、うがいをする、などといったことのみが連想されがちです。

しかし、口腔の粘膜は咽頭部(いんとうぶ)(のどの部分)を経て、食道・胃などの消化器や内臓につながっていますし、気管や肺などの呼吸器官にもつながっており、決して独立した気管ではありません。
その口腔内には、歯がある場合、300種を超える細菌が数千億個も住み着いており、適切なケアが行われないと、一兆億個以上にもなるといわれています。それが、虫歯や歯周病の主な原因となっていて、病状が進行すると歯を失うことになり、食べる機能が低下してきます。
また、高齢や病気などにより飲み込む働きがうまくゆかなくなり、さらに体力・免疫力(めんえきりょく)がおちてくると口腔内で増殖した細菌が、寝ている間や食事時に唾液や食物と一緒に気管から肺に入り、細菌感染を起こす呼吸器感染症(誤嚥性肺炎【ごえんせいはいえん】)にもかかりやすくなり、発熱が続いたり、生命の危機にもつながります。
肺炎は死因の第4位(1995年)で、その97%は高齢者といわれています。

私たち、歯科医師・歯科衛生士は、「口腔の疾病(しっぺい)予防」から「呼吸器感染予防」そして「摂食【せっしょく】・嚥下【えんげ】(たべる・のみこむ)障害への対応」といったことなどを通して、「全身の健康」を支えてゆく「専門的な口腔ケア」を行い、必要に応じてアドバイスや支援もしています。
また、「呼吸する」「食べる」という生命維持の働きとどうじに、話す、笑う、表現する・・といったかけがえのない「コミュニケーション」の役割も果たしている大切な「口腔」が十分機能してゆくよう、機能訓練も行いながら、「心の健康」をもサポートしていきます。
そして、一人一人がそれぞれの状況の中でいきいきと生活ができ、人や社会と関わりながら最期まで豊かな日々が送れるよう支援してゆけることを目標としています。

このような広い意味での「口腔【こうくう】ケア」を、年齢や病気の状況そして体の機能や能力・心理的問題、また環境や生活の状態などに合わせた適切な方法により、どのような状況下にあっても、本人と私たち医療者も含めた周りの支援者の手により、日々続けることが、「口腔【こうくう】」をとおして生きることの「質」を高めてゆくことになります。

健康なときにはあたりまえと思ってしていたことが、高齢になったり、病気や障害を持つと困難になります。
元気で健康なときから、正しい口腔ケアの習得と習慣を身につけ、たとえ病に倒れても、またその後遺症が残ったとしても、「噛【か】んでおいしく食べられる口腔【こうくう】」が存在すれば、それを乗り越えられる可能性は、おおきいでしょう。
さあ、皆さんこれから一緒に「口腔ケア」をもっと理解して自分の健康に向かい合ってみませんか?
歯科衛生士 松尾敬子

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